かわぐち かよさん~子育てしながら地域のママをケアしたい~

鍼灸・マッサージをメインとした治療院「さるのこしかけ」を運営。
1年間のすだちサロンを経て、現在は自宅近くの緑豊かな環境でサロンを開いているかわぐちさん。
2人のお子さんを育てながら、仕事とプライベートを両立していくヒントについてうかがいました。

かわぐち かよ さんのプロフィール

新潟県出身。
2004年に結婚したことをきっかけに、国分寺市に住みはじめる。

鍼灸師の資格をもつ兄の影響で中国や鍼灸に興味をもち、専門学校で中国語の勉強をするかたわら太極拳を学び始める。
専門学校卒業後は中国へ1年間の語学留学をし、帰国してからは鍼灸学校に3年間通って当時の先生から中医学についても学び、鍼灸マッサージ院やクリニックで経験を積む。
2017年2月より「さるのこしかけ」として、すだちにサロンをオープン。2018年1月に卒業。

現在は夫・小学校2年生の息子・3歳の娘と暮らしながら、鷹の台にあるカミカワハウスで女性と子どものための治療院を開業。
立川にある「まんまる助産院」などへの出張治療も行っているほか、不定期で整体教室も開催している。

(2児の母でもあるかわぐちさん。お子さんと過ごす時間が何よりの癒し)

○平日のスケジュール

朝6時に起床。朝食の準備や家事を始める。
6時半頃に子どもが起きてくるので家族で朝食を済ませたあと、娘を近くの保育園まで送る。
日によっては夫が朝食の準備をしてくれたり、娘を送ってくれたりすることも。

保育園から自宅へ戻るついでに買い物をし、ひととおりの家事を終えて自分の時間ができるのは10時頃から。18時のお迎えまではサロンや出張治療、鍼灸学校OB会の仕事などをこなし、帰宅後は夕食の準備をし、家族との時間を過ごしたのち22時に就寝。

○「強すぎない、柔らかい施術」を意識

鍼灸師の資格を持っていることもあり、もともとは鍼メインで施術をしていたかわぐちさん。

しかし、ご自身があまり強い刺激を受けるのが好きではないこともあり、柔らかい整体へとシフト。人によってお灸や鍼、ごくごく柔らかい手の刺激を使い分けながら「ゆるめる」ことを意識しているのだとか。

特に現代は繊細な人が多いため、わかりやすいマッサージ刺激よりも「ふれることで、その人のもつ自己治癒力を活かして整えるようなイメージ」を持っているそうです。

かわぐち かよ さんインタビュー

○体に関する勉強を始めたきっかけは兄の影響

中国が好きだったお兄さんの影響をうけ、かわぐちさんも自然と中国に興味を持ったといいます。特に歴史が大好きで、中国大連の大学漢語科へ語学留学をするほど。

戻ってきたら就職氷河期でどうしようかと思ったそうですが、すでに鍼灸師の資格を持っていたお兄さんがスムーズに就職したのを見て、手に職を持つことの強みを実感し、そこから鍼灸マッサージ専門学校へ3年間通い、実技と理論をみっちりと身につけます。

放課後や休み時間には、同級生とお互いを練習台にして毎日のように鍼を打っていたそうです。

中国武術の無理な練習がたたって以来ずっと痛みに耐えていたかわぐちさんですが、同級生の鍼の練習台になっているうちに薄れていき、1年後には治ってしまったのだとか。

「鍼って本当に効くんだ!」と身をもって感じたことで、体への興味がますます強くなっていきます。

○本格的に鍼灸の世界へ

鍼灸学校を卒業してからは、鍼灸マッサージ院やクリニックでのリハビリ補助・鍼治療などを1年半ほど経験。勉強になったものの身体的にはとてもハードで、指を痛めるなど体が悲鳴をあげてしまったかわぐちさん。

そこで鍼灸業界からは少し離れ、もともと絵が好きだったこともあり、美術館で働き始めます。
とても楽しく充実した日々でしたが、美術品を扱うために室温は常に低く保たれ、足元が冷える環境でした。妊娠したことがわかり、7年間勤めた職場を離れることになりました。

美術館と並行して出張治療をしたり、土日だけ治療院でのマッサージをしたりしていたことから、個人的に指名してくれるお客様が既についていました。長男を出産した半年後からご主人に面倒を見てもらい、徐々に施術のお仕事へ復帰していきます。

○ハンドメイド作家の一面も

ものを作ることも好きだというかわぐちさん。
妊娠中からハンドメイドを始め、消しゴムはんこをレンタルショップへ納品するようになります。
現在も消しゴムはんこの他にマスクや布ナプキンなどの小物を作り、一橋学園にある「はこギャラリー」で販売しているのだそう。

その他にも、羊毛やコットンを紡いだりアイリッシュハープを習い始めたりと、興味は留まることを知りません。
「長男が生まれた頃は、我ながらパワフルだったと思います。やるなら今!みたいな(笑)」

(「カメラのヤマヤ」で使われている、かわぐちさんが作った消しゴムはんこ)

○スキンタッチとの出会い

癇の虫がひどかった長男に悩み、子育てをしながらスキンタッチの勉強も始めます。

スキンタッチとは家庭で手軽にできる「親子ツボ健康法」で、小児鍼をアレンジしたもの。
鍼のかわりにスプーンや歯ブラシ、お灸のかわりにドライヤーを使って行います。
決して力は入れず、「軽く軽く、ごく弱い刺激を与える」のがポイント。
続けることで、子どもの体におこる小さな変化に気づけるのだそうです。

今は毎晩寝る前にお子さんとスキンタッチの時間をとっていますが、あくまでも無理せずに、細く長く続けるのが大切とのこと。

(お子さんへのスキンタッチの様子。スプーンの背を使い、なでるように滑らせるのがコツ)

○今後についての想い

仕事に趣味に…と多彩な顔を持つかわぐちさんですが、少人数で行うお灸レッスンや東洋医学講座、発達が気になるお子さんに向けたケアなど、まだまだやりたいことは尽きない様子。

今は地域密着で、地元のお母さん世代をメインにケアしていきたいと考えているそうです。
産前産後のママは感覚が鋭くなっていて、思った以上の効果が出ることがあるのだとか。

具合が悪くなるとついお医者さんに頼りがちですが、実はその前から疲れなどの兆候は出ていて、そこを逃さずにケアすることが重要なのだそう。
つい後回しにしがちな自分のことに目を向けて体をゆるめてほしい、というのがかわぐちさんの願いです。

「仕事も家庭も、自分にとってバランスの良いところでやっていきたい」
今年1月にすだちを卒業し、より自宅に近い場所でサロンを始めたかわぐちさん。

かなり慎重なほうだと自己分析されていますが、一度決めたことに向かってどんどん進んでいく!という強い意志を感じました。
仕事とプライベートを両立するコツは、そんな「ブレない芯」なのかもしれません。

「取材・文/細渕さちこ」